なぜフランス人は仕事の効率・生産性が高いのか?ワークライフバランスからの見解
イギリス人哲学者バートランド・ラッセルは「怠惰への讃歌」の中で
「フランス人は最高のワーク・ライフバランスを実行している」と言っています。
それを裏付けるかのように、フランスは2017年度OECDワークライフバランスランキングにおいて、38カ国中第3位と評価されました。
1週間のうち50時間以上働く労働者が、日本の21.9%に対し、フランスではたった8%との結果。(OECD加盟国平均13%)
ここで見てわかるように、フランスは加盟国平均よりもバランスが高く、日本は平均よりも低いという結果が出ています。
では、なぜワークライフバランスがこんなにフランスは優れているのでしょうか?
理由は、前回のブログで書いたように、「労働環境がフレクシブルだから」というのがまず大きいです。バカンスの取れやすさ、有給の取れやすさ、労働時間、残業のあり方、融通が利く働き方、これらはワークライフバランスが取れた働き方をするのに、非常に重要なファクターです。
詳しくは、こちらのリンクをクリック
でも、なぜそのようなバカンスがたくさんとれて、労働時間も少ない働き方ができて、かつGDPもトップレベル、生産性も非常に高くいることができるのでしょうか?
これには、フランス人の日々の働き方、会社が求めるものに秘密があります。
バカンスと仕事が終わる時間に対する意識
フランス人にとって、バカンスは聖なるもの。仕事終わりのプライベートの時間をいかにたくさん確保するかも大切です。
そのため、早く帰るために、休日をしっかり確保するためにどうすれば効率的に仕事ができるかを常に考えています。(詳しくは上のリンクから前回のブログをご参照ください)
能力重視
日本でも年々少なくなってきてはいると思いますが、フランスでは、お給料が年齢が上がることによくなるという仕組みはありません。
能力重視なので、いかに与えられた仕事を的確にこなし、さらにそれ以上の成果を会社にもたらすことができるかが重要になってきます。
30歳の若者でも、管理職になることはよくあることで、50歳の人が30歳になるマネージャーをもつということも頻繁に見受けられます。これも、全て能力による判定なので、そこを文句を言う人はいません。
このように、時間管理がしっかりできる人、仕事管理能力がしっかりある人が上に立つので、その分仕事の効率性もあがります。
研修制度
コミュニケーション能力を養うソフトスキルと呼ばれる研修に重点を置いています。
こちらは、大企業のみに見られることかもしれませんが、大企業の場合、ホワイトカラー職の社員に対する研修が盛んです。
特に、時間管理、チームマネージメント、コミュニケーション方法、意思決定方法、意見がぶつかったときの対応方法、会議の成果の高め方を学び、管理職になるとマネージメントやリーダーシップについての研修が盛んにおこなわれます。
こうして、ソフトスキルの技術を学ぶことにより、効率よく仕事をする方法を生涯に渡って学んでいきます。
心理サポート・ケアがしっかりしている
フランスには、日本でいう産業医の制度があります。
日本と異なり、会社の規模に関わらず、フランスでは必ず産業医の配置を義務付けるように法律で決まっています。
また、産業医になるのには、医学部6年+4年の専門コースで学ばなければいけません。そのため、専門性が優れています。
フランス人は仕事で行き詰ったら、わりと気軽に産業医にかかっています。また、産業医までいかなくとも、全体の会社の雰囲気で、何か問題があれば、気軽に人事のもとへ行き、状況を説明するという人事とも日本に比べ、フランスの方がフランクな関係を取れていると感じます。
私の勤めている会社では、労働専門の看護師も常勤で勤めています。
心理的に引っかかることがあったら、仕事にも身が入らないので、このようなサポートは効率的に仕事をするうえで非常に大切だと思います。
専門性の高い仕事をして、仕事を楽しむ
フランス人は、ある程度好きな仕事をしている人が多いです。嗜好が変わってきたら、積極的に自分は何をしたいかを考えて、次の道に進みます。
それでも全体的には、大学の専門だったことを仕事にしていることが多いので、専門知識も豊富で、生涯を通して専門性を高めていくので、その分、自分の仕事についてよくわかっています。
専門性が高く、自分の好きなことをしていると、専門性を高めずに、社内異動が多い日本に比べて、自分の仕事のことがよくわかっているので、効率性があがります。
日本のように、多くのことを学ぶ代償は、専門性を高めることができにくい環境に身を置くことになり、それにより、日本人は、一つの仕事に時間がかかるというこのなのかもしれません。
まとめ
以上のように、フランスでは、皆が働きやすいように、法律面からも労働者を守り、会社も労働者を守っているという環境が提供されています。
更に、フランス人の自分の時間を確保するという情熱が重なり、効率的な働き方、生産性が高い働き方というのが実現されているのではと思います。